今日のお仕事

土曜日は加工のリーダーである二宮さんが法事で休んでいました。
そんな折に臭くなったクーラント*1の交換に来た業者さんが現れたんです。
リーダーがいないので仕方なくオレが応対し、クーラントの臭くなったマシニングを見て貰うよう頼んだら、とんでもない事態が発覚してしまいました。
クーラントの入っているタンクの蓋を開けてみたらば、何と厚さ2センチは在ろうかというゲル状の沈殿物が膜を張っていたんです。
もう、オレも社長もその光景に絶句してしまいました。


結局この機会に業者の方に徹底的なタンクのクリーニングを依頼することになったんですが、生憎向こうは今週忙しいようで、来週にしか来れないという返答が帰ってきました。
まぁ、こっちも急なお願いをしてしまったので文句は言えませんが、そうなると今週を乗り切るのが難しくなります。
この汚れきったクーラントを使って機械加工をすると、瞬く間にたくあんを強烈にした様な臭いが工場中に広がり、甚大な悪臭被害を蒙る事になるんです。
しかし、マシニングは加工の要でもあります。
今週1週間使用不可能となると、出来る仕事も出来やしません。
というわけで急遽、朝に二宮さんと相談して「我々の手で応急的なタンク掃除を行う」という打開策を打ち出したのです。
要は臭いの原因はあのゲル状の層なんです。
だからそれを取り除いてしまえば、臭いは軽減できるようになると我々は踏んだわけです。
それで1週間持たせれば衛生兵を伴った援軍はやってきます。
この持久戦に打ち勝つためにはそれ以外手はありません。


とりあえず要らない一斗缶数個と、層をすくう為のイチゴパックを用意し、ビニール手袋をはめて準備完了。
二宮さんがタンクの蓋のネジをはずし、蓋を開け放ちます。
「うわぁ…、いくらなんでもこれは酷いな…」
封印を解かれたパンドラの箱の中は、相変わらずびっしりと黒いゲルで覆われていました。
更に香り立つたくあん臭に、もうノックアウト寸前です。
何で朝からこんな食欲失せるような作業しなくちゃならないんでしょうか…。
でも、工場中がたくあん臭くなるよかマシです。
意を決して、深遠の闇へと手を突っ込みます。


グチャ


…臭いも見た目も最悪ですが、感触はそれに輪をかけて最悪です。
「ビニール手袋してるのがまだ救いですね…」
「そうだねぇ…」
後はイチゴパックにこのゲルをすくって、一斗缶に捨てる作業を繰り返します。
が、この作業は思っていたより結構厄介で、一斗缶へ向かう前にボタボタとクーラントが垂れてしまうんです。
結局、一斗缶が満杯になる頃には床もゲルとクーラントだらけ。
その光景たるや、正に阿鼻叫喚の人外魔境です。
それも片付ける頃には週初めだというのに作業着は1週間使ったように汚れて、臭いまで付く始末。
何だかもうやってられませんよ。
仕事自体忙しくなかったのが不幸中の幸いでした。
どうにかクーラントも臭わなくなりましたし、めでたしめでたしです。
あー、疲れた…。

*1:水溶性切削油剤。つまりアルミを加工する時にドリルにつける油の事。主にマシニングに使われる。