今日の東方アレンジCD


WAVEの「ARCHIV-EAST」です。
本当は夏コミの新作をご紹介しようと思ったんですが、色々と思う所があって今回はこれを選ばせていただきました。
このCDを手にしたのはまだ自分が東方音楽に目覚めて間もない頃です。
今でもお世話になっているシーガルの店頭にひときわ分厚い4枚組み用のCDケースがあったので、そのボリュームと1900円と言う手頃な値段に惹かれて手に取ってみました。
で、家に帰って聴いてみたらビックリ。
…というかビックリなんていう陳腐な言葉じゃ済まない位の衝撃が耳から脳へと駆け巡ったんです。
テクノやオーケストラやソロボーカルや合唱など、多彩なジャンルや楽器を全て内包した音楽の洪水がこのパッケージに収められていて、聴いている内にもう何が何だか分からないような感覚が頭に襲い掛かったんですが、やはり東方初心者の自分にはその良さを「すげぇ!」としか捉えられず、結局は良い買い物をしたという程度の認識でCD棚に仕舞う結果となってしまいました。
それから偶然出会った「ENTERPRISE」を聴いたり、他のアレンジCDなども堪能してようやくこの「ARCHIV-EAST」の凄さという物を実感するようになったんですが、何と言いますか、何度聴いてもこのCDには新たな発見があって、その都度自分の中での価値が上がっていくんですよね。
だってこれほど生演奏に拘ったCDも他に見た事が無いですし、ここまで本気で作ったオーケストラアレンジに出会った事もありませんし、これ以上奥深いボーカル曲に巡り合った事もありませんから。
それらを3枚組みというボリュームに惜しげもなく詰め込んだ東方アレンジCDもまたこれだけだと思いますんで。
きっと自分にとってこのCDこそがひとつの原点であり、また道標なんでしょう。


D


で、何故このCDを今回ご紹介したのかと言いますと、この程WAVEの代表であったRio氏がお亡くなりになられたからです。
自分がこの事実を知ったのは夏コミの新作である「Songs」を聴いてからでした。



発売する一月ほど前に原点回帰を題材としたピアノ作品を出すと聞いて期待していたんですが、実際に聴いてみるとその内容がもっと死者へ手向けられた物の様に思えたので歌詞カードを先読みしてみたら、その悲報が書かれておりました。
寝耳に水の事だったのでしばし呆然としてしまい、仕事中も色々と物思いに耽ってしまいましたが、不意に引っ張り出した「ARCHIV-EAST」を聴きつつ、歌詞とカードに添えられた今は亡きRioさんのコメントを読んだらようやく思う所が形になってきたので筆を認めた次第です。
先ほど申し上げた通り、自分の東方音楽の原点は間違い無くWAVEのサウンドです。
それを作り上げ、形に残してくれたRioさんに心からの感謝と哀悼の意を表します。
ありがとうございました。