「ゴールデンスランバー」観賞

ゴールデンスランバー [DVD]

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昨日テレビ放送されているのを観賞しました。
これって本当は震災の翌日に放送される予定だったんですよね。
ちょっと楽しみにしていたんですが、報道特別番組に終日切り替わると言う体制になっちゃったんで泣く泣く諦めていました。
けど改めて放送という形になってくれたんで、サプライズ的な嬉しさがありました。
なので本当は神霊廟でもやろうと思っていた所を急遽切り替えて、こちらを観賞した次第です。


で、感想ですが、原作が本屋大賞を受賞した作品という事と、地元仙台を舞台にしていると言う事で非常に期待しておりましたが、ちょっと肩透かしを食らったかなって感じです。
主人公の青柳は罠にはめられて首相殺しの濡れ衣を着せられ、警察から必死の逃亡をするというお話でしたが、結局ハッピーエンドで終わりはするものの、逃げ切って終わりと言う形だったので少々物足りなさはありましたね。
逃走中に敵の存在が大き過ぎて全貌が見えない事もあったり、勾当台公園でテレビを利用して大一番に出たりという見せ場もあっただけに、自分を良いように追い詰めて来た敵や国家に大損害を与えるようなカタルシスも無く、小さく綺麗にまとめてしまったのはちょっと勿体無かったようにも思えるんですよね。
結局主人公は仲間たちとの絆を改めて実感できたという気持ち的な見返りはあったものの、現実的に世間から居場所を追いやられた挙句に整形までして自分の痕跡を可能な限り消して、新たな人生を歩む事を余儀なくされた訳ですし。
しかし敵と呼べる相手が警察やマスコミを率いる「国家のご都合」という、個人が立ち向かうにはあまりにも強大過ぎる物だったので、このオチ以上のラストってのは正直よっぽどの事が無い限り思いつけはしないでしょうし、先程も申し上げはしましたがその辺の無茶な前提を相手にしながら綺麗にまとめた事は凄いと思うので、観終わった後に妙な爽やかさを感じたりはしました。
本当に伏線の回収とかは見事でしたからね。
あと舞台が地元だっただけに、勝手知ったる場所を駆け巡ったり、現実にある放送局や人物が登場したりしたのは本当に面白かったです。
特に本間秋彦さんがゲスト出演していた所は宮城県民泣かせでしたなぁ。
監督さんは県民のツボを良く解ってくれてますよ。
そういうわけで見た甲斐は十分にあったと思います。
ただ大風呂敷を広げ過ぎた分、同じ伊坂さん原作のサスペンスなら「アヒルと鴨のコインロッカー」や「重力ピエロ」とかの方がよっぽど良く出来ていたと個人的に思いますんで、あちらを先に見て期待した方はそれなりの覚悟を持って頂きたいです。
まぁ、並の映画より面白い事は間違い無いと思いますので、あまり気負わずにどうぞ。