「シン・ゴジラ」鑑賞(ネタバレあり)

昨日ラーメン食った後にゴジラも観てきました。
凶暴なラーメンの後に凶悪な映画を鑑賞すると言う非常に乱暴な一日だったと今は思っています。
この映画の公開日は先週の金曜だったんですが、この日は相楽とのスケジュールの調整が合わなかったので断念し、1週間遅れでの鑑賞となりました。
奇しくも広島原爆投下の日に放射能を吐き出す怪獣が出る映画を観てしまったんですが、むしろこの遅れたタイミングで観れてより感慨深い物になってくれたように思います。
人知を超えた進化を繰り返し、紅蓮を超えた紫の焔で首都東京を切り刻み、人も物も大地も空をも焼き尽くすゴジラの姿にはエヴァQの前に上映された巨神兵を悠々と超える絶望感を観る者に与えてくれましたし、それにいざ対処しようと思った時に連合軍での一斉核攻撃で東京ごと破壊する事が現実的に一番の選択肢になるという事実には更なる衝撃を受けました。
東京を核に汚染されても世界中の同情が得られれば支援も見込めて復興も可能ではあるものの、被爆国である日本が再び核に汚される選択肢を半ば強制的に受け入れなければならないという状況は「戦後は続くよ何処までも」「本当に怖いのはゴジラより人間だ」の二言に全て凝縮されているように感じましたね。
しかし「本当にどうするんだよこれ…」という怪物に負けて投げっぱなしジャーマンのまま終わるのではなく、きちんと日本人が世界の協力を得て一丸となってこれに打ち勝って見せたのは凄いの一言です。
フィクションとは言っても日本人の底力を感じる事が出来たのは庵野監督らしい脚本のリアリティがあったからでしょうし、その綿密な描写と情報量には改めて感服させられた次第です。
で、シン・ゴジラをその脚本と総監督を務めた庵野監督の作品として観ると、やはりまぁゴジラでありながら何処を切っても「庵野作品」という一言に尽きます。
というのもやはり庵野作品特有の明朝体によるテロップや、エヴァでお馴染みのあの音楽がゴジラでも使用されているのが一番の要因でしょうね。

エヴァファンとしてはこれを聴くだけでもテンションが上がるというものです。
更に東京に現れた怪物に自衛隊が挑む様はそれこそエヴァのいないエヴァンゲリオンって感じでしたし、現実に怪物が現れるという側面から見たら「仮面ライダークウガ」を想起させたり、いちいち話し合いで物事を決めたり、鼻つまみ者の意見を受け入れられず事態が後手に回っていく様は押井守監督の「TOKYO WAR」に近かったり、現代日本における有事のシミュレーションを描いた作品のある意味良い所取りであり、これさえ観れば一本満足という作品でもあったように思いますね。
庵野監督には「シン・ヱヴァンゲリオン」の製作が控えているとは思いますが、それを創る上での気分転換としてゴジラを手がけたのだと観る前に勝手に想像していたんですけど、これほどの情熱を注がれた作品が生半可な思いで製作されたはずがないでしょう。
最早ヱヴァに匹敵する物を一本創って見せたと言っても過言では無いと思います。
この作品が産み落とされた事がどのような解釈なのかも受け手全員に「好きにしろ」と言われている物なのかもしれませんが、個人的にはシン・ヱヴァに向けてのある意味での前進なんだろうと捉えさせて頂きます。
この映画のお陰で庵野ファンはあと10年は戦えると思いますので、後は良い作品を無理せずマイペースで創って行ってくれればと願っておりますよ。