「ゲド戦記」鑑賞

昨日の夜にミーやヌマタと一緒に観て来ました。
…いやぁ、感想サイトとかで前評判は色々聞いてたんですがね。


まさかここまで酷いとは思いませんでした。


だって帰りに3人で「良かった所を挙げようぜ」って話をした時も、みんな無言でしたからね。
しかも辛うじて出た長所も「動物が可愛かった」ってぐらいでしたし。
こんなのは初めてだなぁ…。


とりあえず具体的に何が悪かったかと言うと、まずアニメーションがのっぺりとしていた所でしょうか。
ジブリの一番凄い所っていうのは躍動感溢れる絵なんですよね。
子供が元気に野山を走り回ったり、物を美味しそうに食べたり、躓いて土手を転げまわったりと、一挙手一投足に感心してしまうぐらいの作り込みが見られる上に、その作っている人間が楽しんで製作しているっていう気持ちまで伝わっていたんです。
…が、この「ゲド戦記」にはそれが全くありません。
ただただ淡々と動く絵が続いて、ハイおしまいって感じです。
とにかく凄いバトルも無いですし、心が洗われる様な風景も出てきませんし、感情移入できる登場人物もほとんど居ません。
唯一「動きが良いな」って思ったのも敵から逃げる所でしたしね。


本当にこれなら「ハレ晴レユカイ」を
100回ぐらいリピートして見てた方が
まだ心が躍りますって。


で、「バトルも無い」とか「感情移入できない」と語ってる時点でもうお解かりだとは思うんですけど、ストーリーもこれまた稚拙なんです。
一言で言えば「何か中学生が一生懸命考えた学園祭の出し物の脚本」って感じでしょうか。
「この世に永遠に生き続けるものなどありはしないのだ」とか「死ぬ事がわかっているから命は大切なんだ」とか「命を大切にしない奴は大嫌いだ!」なんて、今更言われなくてもみんな解かってるって話なんですが…。
むしろこういう台詞が出る所まで見てる時点で監督の力量が解かってしまっているのか、「お前なんかに言われたくねぇ!!」って思えちゃう始末でして。
こいつ何歳なのかなぁって本気で考えちゃいましたよ。
それにこういうのって、フォレスト・ガンプ」や「∀ガンダム」とかでとっくに語られてるんですよね。
それを知っているにせよ知らないせよ、もうとにかく痛々しくてしょうがなかったです。
ラストも「世界の均衡が…」っていう問題の何の解決にもなって無かったですし、演出も幼稚でしたしね。
監督にはもっと名作と謳われる映画でも見て、感性を養って欲しいものですよ。


とりあえず、オレはこれを観る事を心の底からオススメしません。
観ると絶対に今までジブリから与えてもらっていた美しい思い出を完膚なきまでにぶち壊されますんで。
実際に昨日のオレがそうでしたからね…。
もう胸に大きな空洞が出来てしまったみたいで、
帰ってから思わずヤケ酒飲んじゃいましたから。
下らない映画を観てもここまで打ちひしがれる事は無かったので、やはりオレの中でのジブリの偉大さは相当な物だったんでしょう。
しかも間の悪い事に一昨日「となりのトトロ」見たばっかりだもんなぁ…。
そんなわけで今日は二日酔い気味だったりと、もうとにかく駄目です。
何でもいいから別の映画で口直ししたいですよ…。

余談

父は立派な人だよ。
駄目なのは僕の方さ。
いつも不安で自信が無いんだ。
なのに時々自分では抑えられないぐらい凶暴になってしまう。
君の言うとおり、僕はここに居ちゃいけないんだ。


このアレンの台詞をそのまま宮崎吾朗に返しましょうかね。