「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」鑑賞(ネタバレあり)

仕事が終わって、しばらくのんびりした後の20時の回を観てきました。
仕事中は「世間はもうエヴァで賑わってるんだろうなぁ」という取り残された感の中で浮付いたまま作業をしてましたけど、いざ待ち望んだQを観てみたらもう驚愕の連続で、今はもっと頭が浮付いています。
今の感覚を比喩的な表現で語らせて頂くなら、フルコースを食べに来て序というい前菜を頂いて盛り上がり、破でいきなりメインディッシュのステーキでも出てきてこりゃスゲェと有頂天になって次も楽しみだなと思っていたら、何か突然コースとはかけ離れた串刺しの豚の丸焼きでも出てきて面食らってる感じです。
美味しいけど、何か違う。
エヴァっていう同じ食材で、全く別な料理を出された気分です。
そしてこのフルコースは何処へ向かっているんだろうと、不安な気持ちを抱き初めております。
普通は締めにデザートが来るもんだけど、それすら疑わしい。
けど奇をてらって逆にデザートで締めるかもしれない。
旧劇場版を食った時はそこで失敗した感じがするので、今回は二の舞を踏まないで欲しい…。
結局祈るのみってのが自分の立場だと、改めて認識させられた次第です。
そんなわけで、ここからはネタバレ全開で書いて行こうと思います。
まだ観てない方はご覧にならないようお願いします。




まぁ、ぶっちゃけて言うと昨日見た冒頭6分は、話にしっかり関わってはいるけど殆どかませですよね。
問題はその直後です。
いきなり舞台は宇宙船らしき船の中。
勝手知ったる声の主たるキャラたちは皆一様にお年を召され、シンジは誰からも邪険に扱われる始末。
そして告げられる「破」の時間から14年も経ったという事実。
更に舞台がネルフ本部に移ってから、シンジが綾波を助けようとした事で半サードインパクト的な世界の崩壊が訪れ、人類の大半は死滅して、この状況を作り変えるにはフォースインパクトを起こすしかないという更に驚きの事実を次々と提示されます。
本当に見てる側はシンジと同じ目線で14年間の間の世界の変わり様を徐々に知らされていくわけですが、このフォースインパクトに対する考え方の違いがネルフとヴィレとの対立を生んでおりまして、方や「フォースインパクトを起こせば自分の犯した罪を償える」と思っているシンジを利用して自分の理想の世界を作ろうとするゲンドウと、これ以上滅びを迎えさせない為にネルフを亡き物にしようとするミサトさん率いる組織の抗争が未来世界の構図になっておるわけです。
で、結果シンジとカヲルが乗るエヴァ13号機によるフォースインパクトもまた中途半端に止められて更に世界が半崩壊するも、シンジもアスカもレイも存命。
世界に絶望したシンジを引っ張りながらアスカがレイを引き連れつつヴンダーと合流する為に放浪を始めて終わりって感じでしたが…。
序盤の設定から、最後の泥臭い終わり方までとことんエヴァらしくない感じでしたね。
ただ自分がエヴァに触れ合った頃はシンジ達と同世代だったものの、リメイクでまた年齢が引き離され、製作が遅れる度にどんどん自分等は年を食っていったわけですが、そこで急に14年もの時間が縮まって28歳*1のアスカ達と同じ感覚になれたのが嬉しかったと言うか、「エヴァ」も自分達と一緒にきちんと年を食ってくれていたんだなと思えて親近感が湧きました。
実際14〜15歳位だった頃の自分が旧劇場版を観たってちんぷんかんぷんでして、ただひたすらに絶望ばかりが提示されて訳の解らないまま鬱に叩き込まれてしまっていましたが、社会人となって世間で苦労して、震災とかも経てちょっとやそっとじゃへこたれなくなった今、フォースインパクトにもめげず、未だガキのままのシンジを引っ張って歩き出せるアスカの姿が今の自分と重なって、逆にシンジが過去の自分とシンクロして、とても感慨深かったなと。
旧劇と似た世界に成り果てながら、シンジとアスカの立場が逆転しているのもエヴァの成長の証に思えましたしね。
ただ次回予告の大量のエヴァとの戦いとかはどうするつもりなんでしょうかね…。
あれやってる必然性もよく分かりませんし、そもそも新劇場版はあまり次回予告が当てにならないので…。
そういう意味でも先が読めなくて恐ろしいです。


何かもうどう感想を纏めて良いやらよく分かりませんでしたが、とりあえず思った事を色々ぶつけてみました。
また何か考えがまとまったら追記するかもしれません。
少し時間が必要だな…。

追記

と言うわけで遅くなりましたが、色々と頭の中で整理が付いたので追記です。
前回の「破」同様気になった部分を箇条書きの形式で書いてまいります。

  • オープニング

冒頭6分は宇宙に隔離されていた初号機をアスカの改弐号機とマリの八号機が救出すると言う場面でしたが、前作との時系列がさっぱり分からなくてテレビで見た時はかなり混乱しました。
結局映画でも全容が語られた訳ではありませんが、ヴンダーが初号機を動力源とした戦艦であった事を考えると、その初号機が動力としてどれほど有用か分からなければ建造も出来なかったと考えられそうなので、あの救出劇から数年を経てシンジが目覚めたと考えられそうです。
ただ弐号機の修理やアスカの復帰まで時間も要したでしょうから、間を取って14年中7年がアスカと弐号機に時間を費やし、残りの7年でヴンダーを建造して、シンジが目覚めた…と個人的に考えていますが、どうでしょう?
ただ救出されてから更にそんな長い事眠っていたとは思えませんし、実際はどうなんでしょうね…。

  • 加持さんは?

14年後のミサトさんは随分と人が変わって、シンジに冷たくしていましたが、それって加持さんと何かあったからですかね?
ミサトさんは破のラストでシンジに「行きなさい!」と言った所為でニアサードインパクトを起こしてしまったとも言えるので、ミサトさんもある程度人に恨まれてああなってしまったのかなと。
今作で加持さんは名前しか出てきていませんでしたが、その辺もミサトさんと距離を置くためだったり。
まぁ、でも14年も経てばインパクト云々以前に人間なんて変わってそうですけどね。

  • 鈴原家の人々

Qのサプライズの一つが鈴原トウジの妹である鈴原サクラがストーリーに関わってくるようになった事ですね。
テレビ版では完治が絶望的で入院したまま一切登場せず、破で初めてその姿が披露される事になりましたが、そこから更に成長して台詞まで与えられるとは…。
ただあくまで登場しただけで、あまり重要な役柄にはなっていなかったのが残念かなと。
むしろ兄のトウジの存在を匂わせる物がYシャツしか出てこなかった事の方が気になります。
彼は生きてるんでしょうかね?
シンの予告では「生き残った人々との出会いがシンジに希望を与える…」とか言ってたので、ここらで再登場してくれると嬉しいです。

  • カヲル君万能説

ヴィレの環境に耐えかねたシンジ君は仮称アヤナミの乗るマーク9に連れられ、14年も経てほぼ廃墟と化したネルフ本部に連れてこられます。
そこで登場するのはゲンドウ、冬月、アヤナミ、カヲルの総勢4名のみ。
あれだけ沢山いたスタッフは全く出てこず、機械だけがゴウンゴウン動き、時たま停電を繰り返す施設となっていました。
あの状態でよく食事はおろか、エヴァンゲリオン13号機とかまで作れたもんだと思います。
…と言うか、メンテとか誰がしてるんだろ?
まさか意外と機械に強かったカヲル君とか?
謎だ…。

  • さよなら六分儀

冬月とシンジの対談でシンジの母親の旧姓が「綾波」だと判明しました。
つまりフルネームで綾波ユイとなるわけですが、テレビ版では碇性しか出てこなかったんですよね。
逆にゲンドウは旧姓が六分儀だったのでユイの家に婿養子として入った事になっていたわけですが、新劇版ではゲンドウが最初から碇ゲンドウでユイが嫁に来たという形に変更された事になります。
これに深い意味があるとは考えにくいですが、ゲンドウがレイに嫁の旧姓を与えた事でより彼女への執着を明確にしているように感じられたので、感覚的に良い演出になっていたと思います。

同じシーンで綾波ユイの写真にマキらしき人物もチラッと写っていました。
マキはゲンドウのことを「ゲンドウ君」と君付けで呼んでいたので、もしかしたらシンジ達と同世代なのではなく、ゲンドウ達と同世代だったのかもしれません。
ユイがコアと直接シンクロする実験と同時にエヴァの建造も行われていて、そのテストパイロットとかをマキがしていた影響でエヴァの呪縛を受け、歳を取らなくなった…とか。
そうなると誰よりも先にエヴァと触れ合っていたお陰で、破を観た時に気になっていた二号機とのシンクロ問題にも影響を及ぼさなかったとも考えられますし、自分のコネで秘密裏に行動できていた事も、写真に写っていた事の辻褄も合っているのかなと。
ただ破では「自分の目的に大人を巻き込むのは気後れするなぁ」とも言っていたので、大人でありながらそこまで自分を子供と達観できるのかなぁ…と疑問にも思えたり。
でも歌のチョイスやセンスはやっぱ古いし、見た目以上に歳を食っていてもおかしくは無さそうなんですよね。
何気に謎だな、マキも。

  • 旧・急・Q

ラストでアスカがシンジに「また助けてくれないんだ」と言っていて、結構ぞくっと来ました。
どう考えてもあれって旧劇場版の事を指してますよね。
それとカヲル以外にアスカもやたらと「リリン」って言葉を口にしてましたが、この世界ではそんなにメジャーな言葉になってるんですかね。
もし旧劇場版のサードインパクトを知っている人間にしかリリンって言葉を知らないとしたら、やっぱこのアスカは新劇のアスカではない…のかなと。
良く新劇を語る上で旧劇との関連性が噂されたりしますが、今回もまた否定できない要素がちらほらありますな。


まぁ、ざっと思いついたのはこんな所です。
あとは円盤になったら改めて考察しましょうかね。

*1:精神年齢的には。