今日のお仕事

ウチの会社では金属加工はアルミ以外やりません。
が、今回は例外的に銅の加工を請け負う事になりました。
しかもこいつの加工に抜擢されたのはなんとオレです。
全く加工した事の無い素材をオレに任せるとは良い度胸じゃないですか。


…でも、ウチの会社のそういう所は嫌いじゃないぜ。


心の中でそっと呟き、加工を開始します。
ビックリしたんですが、銅はとてつもなく重いんです。
もうアルミの比じゃありません。
15tで1500mm×100mmの材料を持とうとしたら、腰を抜かしそうになってしまいました。
なもんで、加工に入る前の時点でいきなり苦労してしまいます。
実際マシニングに持って行くまでで息が上がっちゃいましたからね…。


で、ようやく作業開始です。
マシニングに穴加工のプログラムを入れ、ドリルをセット。
クーラントをオンにして加工をスタートします。
ウチの会社には銅加工用のドリルが無いため、今回は樹脂用のドリルを極限まで研いで加工に使ってみました。
なので、いつトラブルが起こるかわからず、気が抜けません。


何とか1つ目は順調に加工が終わってくれたので、2つ目のに移ります。
バイスから銅を外そうとしましたが…
「痛てっ!!」
縁に手をかけた時、掌に鋭い痛みが走りました。
見てみると、中指と薬指に切創が出来ており、血がボタボタ垂れ始めています。
「うぉぉ!? こりゃちょっと深いぞ!!」
急いで手を洗い、成田さんから絆創膏を頂いて止血しました。
「気ぃ付けろよ、斎君」
「すんません。まさか銅の縁があんなに切れるとは思ってもみなかったんで…」
しかし、これだけ重くて鋭く切れるなら、銅の剣*1って本当はかなり強いんじゃねぇか?
…いや、そんな事は今はどうでもいいか。


とりあえず怪我をしてからは、軍手を装備して銅をバイスから外す事にしました。
重たい銅を床に引いたダンボールの上に置き、次の銅を手に取ります。
「…しかし、これがまだあと30個もあるとは」
実は、この加工は一つではありません。
大小様々な銅が何と30個近くもあり、更にそれぞれ加工が異なるというオマケつきです。
「こんな重たくて面倒くさい物を全部やったら、死ぬんじゃないか…?」
そう思いながら作業を再開しました。


ちなみに、案の定死に掛けました。
…もう銅なんて見たくもねぇ。

*1:ドラクエに登場する伝統的な武器。安くてそこそこ強い為に序盤で役立つが、これより強い剣は山ほどあるのですぐに御役御免となってしまう悲しき装備。全シリーズに出ているので、ある種「ロトの剣」より有名かもしれない。