「THE 3名様」鑑賞

THE3名様 [DVD]

THE3名様 [DVD]

このDVDにはストーリーというほどの物は無く、ただ3人の男が深夜のファミレスで駄弁るだけの至ってシンプルな内容なのですが、その独特な緩い空気感とシュールなトークテーマに思わず笑顔が綻んでしまい、見るものを不思議な世界に誘ってくれる世にも稀な作品です。
ビデオでのみ映像化された物なので、もしかしたらこれはVシネマという分類に入るのかもしれません。
ミーもコウヘイも見たいと言ってたのですが、物が物なので流石にレンタルなんかしてないだろうと思っていたら、普通にツタヤにDVDが置いてあったのでビックリしました。
もちろん速攻で借りてきましたよ。


何と言いますか、「苺ましまろ」の男版というか、ダメな癒し系とでも言うか、とにかく人の道を外れかかった人々の非現実的な会話をリアルに描いた素敵な作品だと思います。
一編5分程度の話が延々30分も小出しにされる上、メイキングも収録されているので時間の割りに長く楽しめるのも良い所でしょう。
ワンシュチュエーション物*1の作品だと「チャイニーズ・ディナー」*2や「笑の大学*3など、割かし緊張感のある作品が多いんですが、このように「真逆な作品でもやろうと思えばやれるんだぜ」的に大点不敵な物が出てくれるとちょっと嬉しくもなります。
お盆休みにでも見ると、無条件でまったり出来るでしょうからお勧めですよ。
続編も余裕で出せそうなので、是非期待したいと思います。

*1:ひとつの場所でのみ展開される、閉鎖的な物語の事。如何にこの空間に飽きさせないようにするかが、作り手の腕の見せ所となる。

*2:01年 堤幸彦監督作品。高級中華料理店の一室で行われる、店のオーナーと殺し屋の心理戦が描かれる作品。登場人物が全編を通して3人しか出ないのが特徴。最後に待つ驚愕のオチまで飽きさせないストーリー展開が秀逸で、ワンシュチュエーション物のお手本と言える作品。

*3:04年 星護監督作品。戦時下の東京で、検閲官の向坂と劇作家の椿の、脚本直しを巡った知恵比べが展開されるお話。ワンシュチュエーション物でありながら笑えて感動まで出来るという良作。役所広司の演技が秀逸。