「重力ピエロ」鑑賞

宮城で先行公開されている伊坂幸太郎さん原作の映画「重力ピエロ」を早起きして鑑賞してきました。
これは舞台が仙台市であると言う事で、撮影の全てが県内で行われた作品でもあります。
つまる所「アヒルと鴨のコインロッカー」と同じような作られ方をした作品って事ですね。
こういう原作を生み出してくれる作家さんがいて、他県より先駆けてその映像化作品を見れるという環境にある宮城は本当に恵まれた所なんだと常々思います。
で、感想なんですが、久々に涙腺がやばい事になりました。
それぐらいジーンと来た映画です。
レイプ事件とそれによって生を受けてしまった人間と、その家族を取り巻く物語という重めのテーマではあるんですが、その重さにも負けない家族の愛に本当に心打たれてしまいました。
いやぁ、父親役の小日向文世さんの演技は本当に良かった…。
銀のエンゼル」とかでも思いましたけど、こういう優しい父親役をやらせたら日本でこの方の右に出る人なんてもう居ないんじゃないでしょうか。
寂しげな表情も、楽しげな顔も、病に伏せる姿のどれにも「父親」という存在感が滲み出ていて、非の打ち所がありませんでしたし。
それと台詞も良かったです。
「俺達は最強の家族だ」って言葉を聞いた瞬間、マジで涙目になりましたんで。
こういうのを感想の引き合いに出すのもどうかと思うんですが、自分は「メタルギアソリッド」というゲームが好きで、あのシリーズに度々登場する遺伝子(ジーン)と情報(ミーム)の件に大きな感銘を受けた性質です。
主人公のソリッド・スネークは最強の戦士であるビッグ・ボスの遺伝子に殺人を助長する遺伝子を組み込まれて人工的に作り出された人間でしたが、彼はMGS2「未来を作る事と過去を語り伝える事は同じなんだ」と言っておりました。
予め子を成す能力を排除されて生まれてきた彼にとって、自分が生きて得た情報を後の世に伝えていく事が子を成す事と同義だと語っていたわけです。
この重力ピエロに登場する春とその父である正志も、血の繋がりは無い筈なのに嘘をつく時に唇を触るという共通の癖を持っていて、それこそが自分達が親子であるという一つの要因として描かれていました。
つまりジーンではなく、ミームで繋がった親子である俺達は最強だと彼は言ったんですね。
なのでこの台詞を聞いた時に、自分は感情を抑えられなくなったんだと思います。
本当に凄い人だよ、この正志って人は…。
最強の親子と、最強の父親の物語でしたな、これは。
そしてこういう話を生み出せる伊坂さんもまた凄い。
本当に感服いたしました。
所でMGSのシナリオを書いた小島監督と、重力ピエロの井坂さんの顔つきって何となく似てるように思えたのはオレだけでしょうか。
凄い人は何処か似てるのか、はたまた同じミームで繋がっているのか…。*1
何かそういう所を考えると面白いような気がしてきます。


あ、それと「ジーンと来た」って所、遺伝子(ジーン)と掛けてたんですけど…。
…まぁ、良いか。

*1:お二方には映画が好きと言う共通点もあります。