「電人ザボーガー」鑑賞

昨日住んでいる家の壁紙の工事が行われるという事で外出を余儀なくされたので、こうなったら何か映画でも観ようと思い立ちました。
で、上映スケジュールの中から自分が一番観たいと思えたのがこの「電人ザボーガー」でした。
ザボーガーは元々テレビで放送されていた特撮番組です。
バイクが人型ロボットに変形する斬新な設定もさる事ながら、主演があの板尾創路というカルトな魅力プンプンな所に自分の魂が共鳴してしまい、朝から車を飛ばしてMOVIX利府まで行ってきたというわけですよ。
で、観た感想なんですが、何故かスタッフロールを観ていて涙が流れました。
号泣とかではないんですが、こうじわっと目尻に涙が溢れてしまったんですよ。
映画で泣いたのってオレはこれを含めて人生で2度しかないんです。
そんな貴重な涙を特撮に持っていかれてしまうとは…。
でも悔いは無いです。
むしろこの涙こそが感想よりも映画の良さを雄弁に語っていたと思いますんでね。
何かもう本編は思った以上にナンセンスなギャグが満載なんですよ。
最初は「ピューと吹く!ジャガー」の実写版*1を見た時のような「あれ? オレが求めていたのはこういうのじゃないぞ」感があったんですが、メインのバトルシーンや大門がザボーガーを修理して、それに跨って決戦に赴くシーンとかのインパクトが大き過ぎて良さしか最後に残らなかったです。
それほどまでにしっかりと話の要点に力を入れていたって事なんでしょうね。
無茶苦茶でもしっかりと納得できる第一部のラストや、正義を失った故の世知辛さや虚しさよりも「復活」する事を念頭に置いて盛り上がりを強調した第二部の構成など、映画を作る上で大事な事をしっかりと丁寧にやっていたと思うので。
それに加えて今作の映像の肝とも言えるバトルがまた良かったんですよ。
ザボーガー以外にも大門のアクションもかなり見応えがありましたし、CGも思っていた以上に使ってましたしね。
しかもそれを原作のチープな70年代特撮の雰囲気を壊す事無く、効果的に仕込む事によって見事な調和を図っていたのがまた凄いです。
もうここまで来ると監督の手腕の見事さに脱帽するレベルですな。
あと作品を盛り上げる主題歌もまた熱いですね。
オープニングの映像も音楽に合っていて超カッコ良かったですし、先ほども言った決戦に赴く所も音楽との相乗効果で鳥肌物でしたし。
あのブラスの効いた出だしが特撮その物のカッコ良さの根源とも言えるのかもしれませんね。
そして一番驚いたのがスタッフロールですよ。
そこで原作の映像が流されるんですが、登場するのは全て映画でも登場したキャラクターばかり…。
つまりあのおかしな五大幹部も、軽トラック型サイボーグも、ラスボスの巨大ロボットも全部原作でやってた事だったんですね。
あんなとんでも設定の敵なんてほとんど映画オリジナルなんだろう思っていたのに、ここまで原作を尊重して作られていたとは…。
で、そのザボーガーへの作り手の愛と作品の出来その物に感化されて、目頭が熱くなっちゃったって感じです。
まぁ、ここまで結構手放しで褒めちぎってはきましたが、この映画はやはり人は選ぶと思います。
主人公の大門とミスボーグとの恋はやっぱちょっと衝撃的だったんで、子供には刺激が強すぎた部分はあったでしょうし、そもそも特撮作品が原作というだけで癖云々より敷居が高いようにも思えますからね。
けどその辺を乗り越えられれば間違い無く楽しめると思います。
時に道を見失いながらも、正義と共に行き続けた男の人生を老後まで描き切った作品なんて自分の知る限り他にありませんので。*2
騙されたと思って観て欲しい、そんな傑作でしたね。


*1:映画のほうね。

*2:まぁ、ブラックコンドルとかは死後も戦っていたけど。凱さん超かっけぇ。