「シンデレラ・マン」ネタバレ感想

母方のじいちゃんの家に敬老のお祝いをしに行った帰り、丁度この映画のレイトショーに間に合いそうだったので観てしまいました。
主演があの「ラッセル・クロウ」というだけでオレとしては観る理由に足るわけなんですが、ちょっと不安な要素があります。
それは映画のキャッチコピーなんですが…、まぁ説明するよりも実物を読んで頂いたほうが話が早いでしょう。
とりあえず以下の通りです。


「家族の幸せを願っていたら、いつの間にかアメリカの希望になっていた… ---これはそんな父親の物語です」


…これってキャッチコピーなんでしょうか?
「何か見る気失せるな…」と思いつつも劇場へ足を運んだわけですが、何とお話はこのキャッチコピーのまんまだったのでビックリしてしてしまいました。


物語の舞台は大恐慌時代のアメリカで、主人公はかつてボクシングで名を馳せた「ジム・ブラドック」という男です。
右腕の故障で引退を余儀なくされた彼は大恐慌の煽りを受けて仕事にあぶれ、家族を食わせてやるのが精一杯という極貧の生活を送っていました。
そんなある日、彼の元にかつてマネージャーだったジョーがやって来て一夜限りの試合を持ちかけます。
相手はランキング2位の強者で、明らかに噛ませ犬として登場しろというような内容ですが、家族を養う金を得る為にもジムはこの依頼を受ける以外選択肢はありません。
そして運命の日が来るわけですが…、港での肉体労働で鍛えられていたジムは何とこの試合に勝利し、大金星を上げてしまいます。
このチャンスを物にした事で彼はボクシング選手として再起し、次々と現れる強敵を見事に葬り去って行きます。
そしてついにチャンピオンの「マックス・ベア」とのタイトルマッチが実現する事になりますが、このベアは以前に2度も試合で人を殺している豪腕選手だったのです…。


まぁ、その続きはご自身の目で確かめて頂きたいんですが、とにかくラスの魅力満載で大満足でした。
グラディエーター」では戦士としての漢をラッセル・クロウに見ることが出来ましたが、今作では更に「父親としての漢」も味わう事が出来ます。
試合でのあのギラギラした目は正に本物でしたが、子供達を思うあの眼差しもまた本物なのでしょう…。
それと、最後の試合のストーリー運びは本当に素晴らしかったですね。
「勝つか負けるか」ではなく「生きるか死ぬか」というレベルで試合が描かれている事で、物語に重みを持たせる事に成功していましたし、家族だけではなく大恐慌に絶望した労働者達まで彼を応援する様には震えが来ました。
「みんなジムが自分達の分まで戦うと信じているんだ」と言う神父の台詞にはグッときましたし。
最後も「フライ,ダディ,フライ」や「鷹村守 VS ブライアン・ホーク戦」を観終えた時のような爽快感があって、本当に良かったです。
ただ、中盤の展開がちょっと長かったのが難点だったかもしれません。
彼の苦労時代をじっくり描こうとした結果かもしれませんが、それでももう少し詰めても良かったんじゃないかと思ってしまいます。
でも後は本当に文句無しの、見事な快作でした。
とにかくラッセル・クロウのファンには文句無くお勧めします。
グラディエーター」以来の漢っぷりを是非とも御体感ください。