「ソナチネ」鑑賞

ソナチネ [DVD]

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北野武の傑作と謳われる「ソナチネ」を見ました。
何というか、北野作品は本当に男の世界だと痛感しましたね。
と言っても別にハードボイルドとか、フィルムノワールみたいなカッコいい物語を描いているって事ではありません。
それじゃ何を描いてるんだと言うと、「男の生きる姿」なんです。
やくざが浜辺で相撲を取ったり、酒を飲みながら踊ったり、ムカつく奴を拳銃で殺してみたり、助けた女が唐突に裸になったり、花火で銃撃戦をしたり、その合間に本当の拳銃を撃ってみたり。
で、そんな光景を美しい沖縄の青空と青い海をバックに繰り広げられると。
本当に既存のカッコいい映画とは無縁の作りなんですが、それでも「男の世界」なんですよね。
というか今までのハードボイルド映画が、途端に薄っぺらいハリボテのように見えてしまうぐらいのパワーが伝わってくるんだから凄いと思います。
とりあえずそれを物語る台詞がありましたので、ご紹介しておきましょう。


「強かったら拳銃なんか持ってねぇよ」
「怖いから人を平気で撃っちゃうんだ」
「あんまり死ぬのを怖がるとな、死にたくなっちゃうんだ」


男はどんなに大人になっても、根幹は絶対にガキなんです。
楽しい事を見つけるとはしゃぎますし、心の奥には常に弱さがある。
そしてこれらが台詞の一切無いラストシーンに集約されて行くわけです。
というか今までで全てを語りつくしているので、台詞なんて1つも必要ないんでしょう。
台詞以上の事を画面で語ってますし。
いや、本当に素晴らしい映画ですね…。


って言うか、もうこの凄さは見ない事には理解できないと思われます。
なので、男なら是非一度は見ていただきたいです。