「クラッシュ」鑑賞

予告通り、書かせていただきます。
この映画はロサンゼルスを舞台にした群像劇です。
ある交通事故を皮切りにして、様々な人間同士の心の衝突が描かれていました。
「人は皆、触れ合いたがっている」と冒頭で語られますが、それを人種差別や偏見が邪魔して思うようには行かない。
でも、それでも人々はどこかで繋がっている。
その輪を神のような視点から眺めるという、非常に深い映画でした。
人種の壁を大きなテーマとしていますが、その枠だけでは収まりきらない力を持った作品だったと思います。


かつて日本人の留学生が家を間違えただけでその家主に撃ち殺されてしまったという事件があったように、基本的にアメリカ人は未知の物に対して敵対的であるといいます。
そこから起こる偏見や、国民性にまで染み付いた差別意識というものをこの映画は如実に描いていたように思えてなりません。
でもそういうシビアな現実だけでなく、それが持たらした小さくても光り輝き続ける奇跡が描かれていた事が、先ほど感じた作品の力強さの正体なのでしょう。
群像劇であるが故に難解な話でもありますが、非常に素晴らしい完成度を誇る映画なので、観れる環境にある方には是非お勧めしたいです。


ちなみにオレはエレベーターで黒人と2人っきりになったことがあります。
あまりにも怖くて微動だにで来ませんでしたが、これも未知の存在への恐怖だったんでしょうなぁ。
オレもアメリカ人に対して、あまり大それて言えた義理じゃないのかもしれませんです、はい。