仮面ライダーディケイド 第16話「警告:カブト暴走中」

今週からカブト編です。
カブトと言うと主人公のカッコ良さが非常に際立っていた作品だったように思います。
「天の道を行き、総てを司る男」と自らを語る天道総司が、毎回おばあちゃんから教えて貰った格言を引っさげて戦闘に料理に大活躍する様は痛快でした。
特にお盆の頃にやっていた料理対決の話は神回だったと思います。
あんなに笑ったエピソードも珍しいですからね。
それとこの作品も劇場版がマジで秀逸です。

テレビ版を1クール分ぐらいまで見ていないと本当の良さは理解できませんが、その手間を考慮してでも堪能する価値はある一品だと思います。
劇場で展開されるパラレルな物語とテレビ版で張られた伏線が徐々にリンクし始め、物語が完全に一つになるラストには鳥肌が立ちました。
今までも素晴らしい映画を見て鳥肌が立った事はありましたけど、まさかそれを仮面ライダーにやられてしまうとは思っても見なかったので非常に嬉しかったです。
ただこの劇場版のエピソード、テレビ版の後半で全否定されちゃうんですよね。
というかこの全否定の件に限らず後半の失速っぷりには目も当てられない部分が多々あるんで、この作品に対する最終的な自分の評価はあまり高くはありません。
結局ガタックが「戦いの神」と言われていた事や、35年前から加賀美がガタックになる事を運命付けられていたって話や、擬態天道がひよりを連れて行ったもう一つの世界ってのも謎なまま終わっちゃいましたしね。
この辺もしっかり複線回収できていれば凄い作品になっていたかもしれないんで、未だに残念に思ったりしています。


で、そんなカブト編ですが、やはり物語の肝はワームでしたね。
人間に擬態して社会に潜伏するという恐ろしさを、時にコミカルな表現も用いて端的に描いていたのが上手いなと。
というか笑いのツボって人間とワームを見分けるのにも使えるんですね…。
便利だな、意外と。
それと今回は戦闘シーンも素晴らしかったです。
カブトと言えば他の作品には無い「クロックアップ」という超高速戦闘を可能とするシステムが敵味方共に当たり前のように存在していますが、ディケイドにはそれがありません。
しかしそこをクウガのペガサスフォームに備わった超感覚で対応したり、ファイズのアクセルフォームで対抗したりと他のライダーに変身できる能力をフルに使って応じていた所が凄かったです。
ディケイドが他のライダーに変身できる能力はある種のファンサービスの枠から出ない力だろうと思っていましたけど、考えようによっては他のライダーから力を得れば得るほどこのような戦略的な戦い方まで可能になるという事でもあるんですよね。
なのでここまで来てようやくディケイドが初登場時より強くなったという事も実感出来ましたし*1、またこの力がとんでもなく強大な物であるという事も理解出来たように思います。
世界を滅ぼすかどうかは別としても、鳴滝のようにこのディケイドの力を恐れるのも解らなくもないかなと。
…まぁ、決め台詞しか言えない電王の能力とか見てると「ああ、そうでもないかな…」とか思ったりもしちゃいますけどね。
とりあえず今までで最も画で魅せてくれた話でもありましたし、画で考えさせてくれた話でもあったので非常に面白かったです。
後はこの世界のカブトの正体が誰なのか気になるんで、早い所その辺を明かしていただきたいものですな。

*1:だって最初から性能がチート過ぎるんだもの。