「TRIGUN Badlands Rumble」鑑賞

土曜に観てきた映画ってのがこれです。
遅ればせながらですが、感想を書かせて頂こうかと思います。
えー、トライガンというと2007年に連載が完結されたマンガなんですが、この劇場作品で奇跡の復活を遂げたと言う事になるわけですね。
一ファンとしてこれには非常に大きな喜びを受けたわけで、この度劇場まで足を運んだ次第です。
ストーリーは世紀の大強盗とあだ名されるガスバックが行う一世一代の大叩きにウルフウッドやミリィ達が巻き込まれたり、裏でヴァッシュが絡んでいたりする感じになっていました。
言うなればトライガンの世界に於ける日常的なドタバタの中でも少々大掛かりな物を取り上げたお話って感じですね。
しかし話は非常に良く纏まっておりました。
今回の脚本はテレビ版を担当された黒田洋介さんでは無く、小林靖子にゃんなんですが、この方らしい破綻の無い丁寧なまとめ方とラストで明かされる意外なドラマにグッと来てしまいましたね。
何か「劇場版仮面ライダー電王」とかでも見せた深いオチをここでも堪能させてくれた気がします。
この辺は流石靖子にゃんだわ。
あとヴァッシュの存在そのものの強さと言うのを遺憾無く描ききっていたのもポイントが高いです。
あのヴァッシュ・ザ・スタンピードが画面に出てくるだけで作品の空気感の全てが乗っ取られるようなインパクトの強さと、テレビシリーズから変わらないキャラクター性に改めて驚かされましたよ。
当たり前な話ですけど、やっぱ「トライガン」はヴァッシュ抜きでは語れないんですね。
世間では悪魔のように恐れられ、都市伝説とまで化し、実際本人も人の理から外れているにも拘らず、当人は人を殺さず、人を愛し、人を敬い、彼の本性を知る者は彼を愛して止まない。
ここまで極端なキャラクターって世の中にそうそう存在はしていないと思いますよ、本当に。
しかもまた今回のヴァッシュは戦闘でもきっちりと魅せる所を見せてくれたもんなぁ。
あんだけ凶悪な武装を施しているガスバックを拳銃一丁、しかも銃弾12発のみで倒してみせるってのには本当に驚いたわ。
アレに勝てるプロセスを提示してみせるだけでも凄いよ、本当に。
100年以上生き抜いてきたヴァッシュの生き様ってのが痛いほど良く解る、説得力に満ちた作品だったと思いました。


…が、ここからはあくまで「欲を言えば」という不満なんですけど、やっぱ原作マンガやTVシリーズのメインを張っていたストーリーには一切抵触しない番外編的な物語に終わっていたのがちょっと物足りなく思えましたかね。
つまりはナイブズも出なければGUNG-HO-GUNSのガの字も*1出てきませんし、エンジェルアームはもちろんの事、ヴァッシュの左腕のマシンガンすら出てこないっていう事です。
まぁ、そこまで徹底したからこそ番外編として完璧な内容となったわけですけど、今まで見てきた本編の規模が規模だけに物足りなさは否めなかったかなと。
けど原作が完結した以上、この道でしかトライガンはもう生きられないわけなんですよね。
個人的にはそういう切なさも傍から感じてしまった次第です。
でもこの気持ちも割り切れた頃に、またヴァッシュの日常的なストーリーが展開されてくれればとも思ったりしています。
細々とでも良いから続いて欲しいですね、トライガンは。

*1:ウルフウッドは別としてね。