「山下達郎シアター・ライブ PERFORMANCE」鑑賞

親父がチケットを買ってきたので、観に行くかって事になって行ってきました。
山下達郎は親父が大好きなアーティストで、自分も生まれた頃から聴かされてきました。
それはもう子守唄代わりに。
まだ物心が付く前は「悲しみのJODY」が大好きだったそうで、何度も親にせがんでリピートさせてもらってたそうです。
全く覚えてないけど。*1
D
そんなわけで山下達郎さんのライブってのには一度行ってみたいと思ったりしてるんですけど、この方のライブは決まって狭いコンサートホールでしか開かれないので、チケットは毎度瞬殺されて未だに願いは叶わなかったりしています。
しかしこの度シアター・ライブという、映画館でライブ映像を流すと言う非常に斬新な試みがなされる事になりまして、そのライブ代わりに観たわけです。
しかし映画と取るか、コンサートと認識するか、大分迷うと言うか、位置づけの難しい作品ですね。
とりあえずコンサートとして見た感想を述べますが、今まで親父と一緒に色んなアーティストのライブに行ってきましたけど、やっぱ小田和正さんや井上陽水さんの時の客層と近かったですね。
映画館でこの中高年の客層だらけの世界に浸れるとは思わなかったので、何か斬新でした。
そしてライブが始まって驚いたのが音の響きです。
もう腹の底まで反響するような音量で、正直鳥肌が立ちましたよ。
この映画は達郎さんが自ら映画用に音をリマスタリングしたらしいので、その辺がしっかり効いていたのかなと。
それとパフォーマンスも結構面白い事やるんですね。
「アトムの子」にドラえもんの歌を混ぜ込んだり、ステージの端っこからマイクを使わずに歌いだしたりとか。
親父曰く「たっつぁんは音響に拘るから狭いコンサートホールでしかやらないし、ああいう狭い場所だからマイクを使わないパフォーマンスも出来るんだ」との事ですが、それだけ色々理に適ったライブだったんだなと。
小田さんは自身の体力も演出に折込み、陽水さんはその独自の世界観を前面に押し出していましたが、達郎さんは職人の手仕事を一つの売りにしてるんだと認識させられました。
もちろんそれだけじゃなくて、同じ人間とは思えないほどの声量と音域も披露してくれてましたが、本当に聴けば聴くほど凄いですよ、あの歌声は。
オレもせめて人並みに歌えたらなぁと改めて思っちゃいましたよ。
音楽が出来る人は凄いや、本当に。


で、次は映画として観た感想ですが、セットが出来る所から始まり、公演が終了してお客さんが帰るシーンで終わるという手法を持ってきたのは上手いと思えました。
ライブ映画という作品の性質を生かした構成ですんでね。
ただそれならそれで映像の順番ももう少し凝っても良かったかなと。
若い頃の映像から始まるのは文句も無いんですが、後半は公演のラストの曲が多めで何度もコンサートの終わりの雰囲気ばかり堪能させられましたんで、ああいうのは本当に最後だけで良かったかなと。
それかもう時代の順番すら無視して、コンサートの構成を重視してオープニング→メインのパフォーマンス→ラスト→アンコールの順で構成するのも一興だったのでは無いかと。
むしろ映画でもあるんだったら若かりし頃の達郎さんの映像が中盤に挟まれても、それはそれで35周年記念故のファンタジーのような演出とも受け取れるわけですからね。
それと1週間限定の特別プログラムという性質上仕方ない事かもしれませんが、パンフレットも存在しないのはちょっと残念だったかなと。
コンサートとして捉えるならやっぱ用意して欲しかったですね。
あとBDやDVD化の予定も無いらしいんで、勿体無い感じもありました。
折角なんだからコンサートとしても映画としても一挙両得な商売の仕方もあったと思うので、随分不器用な印象が残りましたね。
まぁ、それが山下達郎さんらしいと言えばらしいのかもしれませんけど。
ともかく非常に上級者向けな内容だったと思いますが、ファンの為の一種のお祭りだと思えばアリな作品だと思います。
先ほども言った通り1週間限定の映画ですんで、観ようと思う方は早めに決断する事をオススメしときますよ。

*1:もちろん聴くと何か感慨深いものはありますけどね。