ワッツ日和 後編

こんなオレが何でする?

古本屋を後にしようとした時、ヌマタがこんな事を言って来ました。

ヌマタ:ユウちゃん、今から持ってきたゲーム売って欲しいんだけど。
オレ:…ああぁ!?

おいおい、今に始まった事じゃないが、何でこいつと血が繋がってるわけでもねぇオレがそんな事せにゃならんのじゃ!?
まぁ百歩譲って未成年で免許も無いこいつがゲームを売ることが非常に困難である事は理解できるが、オレが保護者代わりになるってのはやはり間違ってるだろ。
ばれたらきっとお叱りを受けるぞ!


…とは言うものの、ヌマタはこのままでは今日の昼飯もままならないという事だそうなので、渋々売ってやる事にしました。
で、奴が持ってきたのは「ヴァルキリープロファイルシルメリア」と「アンリミテッド:サガ」の2本です。
まぁリミサガは雀の涙だとしても、ヴァルプロは4000円ぐらい行くでしょう。
多少の期待を孕みつつ、買い取りカウンターに持って行きますが…

店員:買い取り金額は合計で2650円になります。


というぶっちゃけ在り得ない返答が返って来ました。
これにはヌマタも激怒して、買い取り了承にノーを言い渡します。
うーん、確かにこれは酷い金額だよなぁ…。
でもそうなるとオレはまたどこかで買取の手続きをしなくちゃならないって訳だ。
…こいつはその辺解かってくれてるんだろうかねぇ?

昼食、反論、オブジェクション

古本屋を後にし、再び車は古川へと向かいます。
…が、ここである問題が浮上してしまいました。

ミー:ユウちゃん、もう12時だぜ。腹減ったよ。
オレ:え? もうそんな時間か?


そう、古本屋でチンタラしてるうちに既に昼飯時になってしまったんです。
…しかしいくらそんな時間帯になったとはいえ、お盆の休み時に友人と好きな物食いまくってしまったオレとしてはもう食べたい物なんて思いつかないんですよね…。

オレ:…ああ、でもカレーとかなら食いたいかな。「御節の後にはカレーもね」とか言うし。
ワッツ:む、カレーとな?


…あ、しまった。
ワッツはキレンジャーも真っ青なカレー好きなんだった。

ワッツ:カレーなら何杯だって食えるよ。っていうか毎日でも良いね。で、何処で食う?


というわけで、何か昼飯はあっさりとカレーに決まってしまいました。

助けてキレンジャー

昼飯がカレーに決まったのは良いんですが、カレーの専門店なんてこの辺じゃ何処にもありはしませんし、ファミレスでカレーなんて頼んだ事も無いのでメニューに載ってるのかも定かでは無く、結局何処で食えるのか皆目検討が付きません。

ヌマタ:腹減ったー…。
ミー:つーか、オレは古本屋の時点でやばかったけどね。


後部座席では運転手の気持ちなど知ってか知らずか、弟達が言いたい放題です。
ここは何とかしなくては…と思って辺りを見回してみると…

オレ:おおっ!! ココイチだ!!


何と、道路の手前にココイチがあるのを発見してしまいました。
急いで駐車場に車を滑り込ませ、エンジンを切って降りようとしましたが…
店を見つけた嬉しさの反面、何故かあまりここで飯を食いたいとは思えません。
周りに気を配ってみると、どうやら他のみんなも同じ御様子です。

オレ:…うーむ、どうする? 今なら次の店を探す事も出来るぞ。
ミー:…うーん。
ワッツ:そうだね、行こうか。


というわけで、オレ達は再びバイパスに戻って古川へ向かう事に決めました。
折角のドライブですから、その辺で食えるものじゃなくて、もっと遠くの凄い店で食いたいですしね。

お店が無い

仙台を越え、富谷町を越え、大和町まで来ましたが「ここで食いたい!!」と思えるような店など見つからず、結局更に先の大衡村に突入してしまいました。

オレ:おいおい、確かここから先は店らしい店なんか一軒も無いぜ。
ミー:まぁ、村だしねぇ。


人口が8000人程しか居ないこの場所ではろくな食事処などありません。
もちろん回りは豊かな自然だらけですし、道路も狭まって一車線です。

オレ:いやぁ、蝉の音がこれでもかと木霊してるなぁ…。
ワッツ:まるで雛見沢村みたいだなぁ…。


時刻は午後1時。
厳しい日差しとけたたましい蝉の鳴き声に、オレ達の体力はただただ削り取られていくばかりでした…。

舞台は約束の地へ

オレ:と、とうとう大崎市だぁ!!
ワッツ:大崎のみなさーん! こんにちわー!!


結局飯も食わずに目的の古川がある大崎市へ来てしまいました。
ワッツもこの状況に思わず「212市町村カントリーサインの旅」の真似をしてしまいます。

オレ:あー、そういやここは元々『三本木町』っていう町でね、ひまわりの丘っていう場所が有名なんだよ。
ワッツ:おー、良いね。行ってみたい。
オレ:きっと琥珀エンドみたいな場所なんだぜー。
ワッツ:あれ? それじゃもしかして聖地なんじゃない?


何かもう暑さで参って変な事を口走ってしまいましたが、とにかくゴールはもうすぐです。

古川の古本屋

そして、古川のブックオフへ到着しました。
ドライブがてらに遠くの古本屋へ行こうと何の気なしに思っただけなんですが、まさかこれほど大変な目に遭うとは思わなかったです。

ヌマタ:あー、ユウちゃん。もうここでゲーム売るわ。


…忘れてた。
そういやそんな面倒な事が控えてたんだっけ。
っていうかもう少し達成感とか味わわせて欲しかったな。

店員:買い取り価格ですが、4100円になります。
オレ:おー、良いんじゃね?
ヌマタ:うん、それで良い。


というわけで、晴れてゲームも売れて肩の荷もさっぱり降りました。
後は買い物を済ませるだけですな…。
せっかくここまで来たんで、掘り出し物でも見つかれば良かったんですが、結局買ったのはこんなものでした。

まぁ、どれも100円とか300円だったんで、良しとしますか。
来た事に意義があるわけですし。

もうゴールしてもいいよね

買い物も終えたので、食事処を探しつつ帰る事にしました。
初めは「ここまで来たんだから美味いものを!!」とか思ってたんですが、結局仙台に戻ってくる頃には限界が来てしまったんで、泉のガストで手を打つ事にします。

オレ:…いや、しかし疲れたな。結局もう3時近いし。
ミー:まぁ良いんじゃね? 面白かったし。
オレ:あ。っていうかもうこんな時間なんだよな。オレ4時24分からやるリュウケンドー予約してねぇや…。


…とか思ったんですが、リュウケンドーは遅れて放送されている分DVDの出回りも早いんで、それまで待つ事にしました。
急いで帰るのも面倒ですしね。

クッキング・ミー 〜お盆編その2

さて、外食恒例であるミーのお料理コーナー、通称「MMR(ミー・メイクス・料理)」のお時間がやってまいりました。
今回の食材は以下の通りです。


  • 醤油…一瓶
  • レモン…一片
  • お冷…一杯
  • パセリ…四本
  • わさび…少々


とりあえず鉄人はおもむろにお冷に醤油を軽く注ぎ、レモンを絞って残った皮をグラスに浮かべました。
そしてわさびを溶かし込みもせずに沈め、お冷をパセリで飾り付けします。
で、あっという間に完成。

その名も「醤油とレモンの冷やしスープ マングローブ風」です。
まぁ、見た目はレモンティーっぽいんですが…

オレ:レモンと醤油臭いね。
ミー:うん、レモンと醤油臭い。
ワッツ:レモンと醤油臭いね。
ヌマタ:レモンと醤油臭いお( ^ω^)


結局はまた見掛け倒しです。


そしてオレ達は、そのアートを残して再び店を去るのでした…。

風の谷の

店を出る際、ミーが順番待ちの用紙に何か書いているのを発見します。
近寄ってみて見ると『〜様』と書く欄に『ユパ様』と書いてありました。
まさか店員さん、これを鵜呑みにして「お待ちのユパ様どうぞー」とか声掛けたりしないだろうな…。
何であれさっさと店から引き上げるべき状況なので、そそくさとドアを開けて車へ向かいました。

ようやく帰宅

それから多賀城の万代書店に寄ったりした後、家に帰って来ました。
で、ダラダラ過ごしてるうちに夕飯の時間になったりしましたが、飯が遅かった所為もあって腹が減りません。
仕方なく再びごろごろし始めますが、20時にもなると流石に小腹が空いてきたので、何を食うか決める事にします。

オレ:何か疲れてるけど、お茶漬けとかなら食えそうな気がする。
ワッツ:お茶漬けか…。
オレ:市販のお茶漬けにもっと具材とか追加して、高級感とか出したら面白そうじゃねぇ?
ワッツ:ああ、それなら良いかも。


というわけで、スーパーへ飯を調達しに行く事にします。

宴の準備

飲み物のお茶とお茶漬けの素をスーパーのかごに入れた辺りで、ワッツがとんでもない物を発見します。

ワッツ:これやってみない?
オレ:こ、これか…。

ワッツが指差した物は「冷やし烏龍茶茶漬け」でした。
確かにどんな物か興味が無いわけではありませんでしたが、食うのに勇気がいるので買うに至る事が出来なかったんですよね…。
でもまぁ、せっかくですからチャレンジしてみますか…。


で、お次はお茶漬けに乗せる具材です。

オレ:疲れてる時はやっぱ梅だよなー。


そう言ってオレは瓶入りの練り梅をチョイスしますが…

ワッツ:オレはこれだな。
オレ:…え、それ!?


何と、ワッツはねぎみそを選びやがりました。
それってお茶漬けに使うのは激しく間違ってる気がするんですが…。
…まぁいい。
奴が選んだ道だ。
オレがとやかく言うのは止めておこう。


…と思ったんですが、オレは何故かワッツの取る無謀な行動にささやかな劣等感を感じてしまっていました。


奴はこんなにも漢らしく無茶をやらかそうとしている。
なのにオレは平坦な道ばかり選んで、恥ずかしくないんだろうか?
オレに足りないのは冒険なんじゃないか?
そうだ、それだよ!
今こそオレの中に眠る果て無きボウケンスピリッツを目覚めさせる時じゃないか!!


って事で、オレはある物の購入をワッツに提案してみました。

オレ:ワッツ、ついでにこれもいってみないかぁ?
ワッツ:そ、それは『ニンニクの力』!?


そう、ウコンの力の姉妹品であるニンニクの力です。
これまた興味はあるけど怖くて手が出せない一品なんですよね。


とりあえずこれで食材は揃ったので、家に帰って宴を催す事にしました…。

蝕?

まず、冷やし烏龍茶茶漬けから行ってみる事にします。
まぁもし腹を壊しても

アレがあるから大丈夫ですよね。

オレ:イエーイ! かんぱーい!!
ワッツ:かんぱーい!!

そんなわけで半ば無理矢理にテンションを上げて、冷え冷えの烏龍茶を掛けたご飯に喰らいつきますが…

オレ:…結構美味くね?
ワッツ:ああ。アリだと思う。


何と、意外にも美味しかったです。
夏場の食欲が無い時とか、二日酔いの時に良さそうですね…。


で、次は変わり茶漬けです。
とりあえず最初はお互いがそれぞれ買った梅とねぎみそを食い、最後に両方を混ぜた物を食すという事にしました。

オレ:イエーイ! かんぱーい!!
ワッツ:かんぱーい!!


さっきと全く同じテンションで、お茶漬けを食い始めます。

オレ:あー、やっぱ梅は美味いなぁ。
ワッツ:…オレのねぎみそは何か猫飯みたいだけど?


で、半分ぐらい量が減った所でオレの梅茶漬けにはねぎみそを。
ワッツのねぎみそ茶漬けには練り梅を投入します。

オレ:あははははっ!! かんぱーい!!
ワッツ:かぁんぱーい!!


必死でテンションを上げつつ、飯を掻き込んでみました。

オレ:…。
ワッツ:…。


…うん。
決して不味い物じゃなかったな。

オレ:何か拍子抜けだな。
ワッツ:ああ。


…が、まだだ!
まだ終わらんよ!!
何たってオレ達にはアレが残っているんだからな!!

きっとこれの発するニンニクの強烈な臭いで咽返ること請け合いだろうよ!!

オレ:それじゃあ逝くぜー!! かんぱーい!!
ワッツ:かぁんぱーい!!


アルミ缶をぶつけ合い、一気に飲んでみます。

オレ:………。
ワッツ:………。


そ、そんな馬鹿な…!
ニンニクの汁が美味いだと!?


あ…、ありのまま今起こったことを話すぜ!
『ニンニク臭いと確信していた液体を飲んでみたら、りんごジュースみたいで美味かった』
な、何を言ってるのかわからねーと思うが、オレも何をされたのかわからなかった。
頭がどうにかなりそうだった…。
嘘だとか混乱による味覚の暴走なんてチャチなものじゃあ、断じてねぇ。
もっと恐ろしい物の片鱗を味わったぜ…。

オレ:…う、嘘だろ!?
ワッツ:こんなのありえねぇよ! だってニンニクから臭いを取るなんて、核爆弾からウランを抜くような物じゃないか!
オレ:ああ…。靖国神社からA級戦犯だけを取り出すようなもんだよな。こいつは…、脅威だぜ。
ワッツ:も、もしかしたらアメリカはこの日本の驚異的科学技術を使って新たな試みを成そうと狙っているんじゃないか!?
オレ:な、何だってー!? つまり、アメリカの新たなフロンティアはここにあったんだな!!
ワッツ:これはベネットドクトリンが発動するかもしれないな…。


…まぁ、アレですよ。
多少混乱してしまいましたが、「ニンニクの力」は凄く美味しかったから試してみろって事です。
恐怖心も抜きにしてね。
それじゃ、お後がよろしいようで…。

帰宅

その後、ワッツを送って18日もKAZZ君を伴って遊ぶ約束を取り交わしました。
…今度はどうなるんでしょうね。
ちょっと不安ですが、楽しみですよ。