今日のサントラ


ドラッグオンドラグーン2 封印の紅、背徳の黒」のサウンドトラックです。
お値段はAmazonで1399円でした。
DOD2に関しては全く知識が無かったんですが、1の音楽がなかなか癖になる仕上がりだったので2も注文してしまいました。
CDが届いてから調べたんですが、2は1のAエンドから派生するパラレルストーリーのようですね。
アンヘルがフリアエの代わりに封印の礎となり、辛うじて平和が保たれている世界でありながら再生の卵で誕生したフリアエとイウヴァルトの融合体も出てくるらしいので。
と言う事はしっかりと1のカオスな音楽性も引き継がれているのかな…と思いきや、何か随分と音楽の趣が変化しちゃってましたね。
あの聴いていて気が滅入るどころか頭がおかしくなってきそうな音色は微塵も無くなり、メロディアスでカッコ良い曲が多くなっちゃってましたんで。
交響詩『禁断の序曲』」とか圧倒的な迫力と音使いで聴き手を魅了してくれますし、「突破」とかは勢いが凄くて乗れますし、あの「尽きる」も2パターンのアレンジが収録されていて結構な聴き応えがあります。
D
D
が、素直に音楽として良かったとしてもそこはあのDOD
この変わりようは一体どうした事かと思ってブックレットを読んでみると、どうやら前作のコンポーザーさんは2で下ろされて別な方に交代しちゃっていたようなんです。
理由は1の音楽があまりにも世間から不評だったかららしいです。
こちらの評価もブックレットを読んでから調べて初めて知ったんですけど、「聴くに堪えない」とか「最早音楽じゃない」とか散々言われたようですね。
で、その結果がこの売れ線の音楽への路線変更、と。
まぁ、そういう結果を突きつけられるのも解らなくはありません。
正直どう考えても一般受けしないでしょうからね、1の音楽は。
「第十二章 上空」とかは息が詰まりそうな圧迫感を耳に受け続ける上に、狂ったオルゴールのような音色が高速で叩きつけられ、不安感をこれでもかと煽りますし、ぶっちゃけて言ってみれば収録されている全曲が嘘偽り無くこんな調子ですから。

しかしそんな正気の沙汰ではない音楽も、ドラッグオンドラグーンの世界なら映えるんですよ。
何度か言っているようにゲームとはバランスが命です。
グラフィック、シナリオ、システム、音楽、それらの何かがずば抜けて良かったとしても、他がついて来なければそれは違和感を生む存在でしかありません。
しかし音楽がこれほど不快感を煽る物だったとしても、シナリオは全ルートバッドエンド、頑張ってクリアしても全く報われないという狂気に満ち満ちたDODならそれに見合った音楽とも言えるんです。
むしろDODの為だけに作られた音楽なんだと思えたからこそ、自分は1のサントラで「ゲームを心から理解した故に生まれた一品」と評価させて頂いたわけです。
それと2の音楽に不満を感じたと言うか、物足りないと思えてしまったポイントとして「音の奥行き」があるんですよ。
1の音楽の特徴は音の振れです。
DOD1の曲は左右へ交互に音を振って、わざと不快感を助長しているんです。
主題歌の「尽きる」を聴いて頂けると解ると思うんですが、もう出だしから音波攻撃とも取れるような振りっぷりを見せてくれますからね。

試しにヘッドフォンで聴いてみて、途中で方耳の方を外してもらえると、どれだけ耳が苛められていたか理解出来ると思います。
で、更にこれに抑揚も無く、暗い歌詞が乗せられ、耳どころか心まで蝕む素敵仕様になっておるわけですよ。
しかしながら2のアレンジではこれがビックリするような変化を遂げています。
何と癒し系っぽいイージーリスニングに変貌してるんですよ。


D


しかしこれもDOD1の音楽を知っている者からすればある種邪道とも言えます。
確かに聴きやすくはなったんですが、何か薄っぺらくなっちゃったんですよね。
あの激しく振られる音色も、人形が呪いの言葉でも吐いているような歌声も無くなり、結果3次元が2次元に変わってしまったような奇妙なパワーダウン感を覚えてしまいます。
音楽それその物としての魅力は確かにあるんでしょうが、自分としてはやはりDOD1でしか成しえなかった独特のオリジナリティってのを完全に殺してしまっているとしか考えられないんですよ。
東方のアレンジをこれでもかと聴き続けて至った結論なんですが、アレンジとは原曲をより良い物にしてこそ本当に評価されるものなんですよ。
言ってみれば原曲の良さを理解し、そこに更に美味しくなる味付けをすればそれで十分評価されるんです。
しかし元の良さを殺してしまっては意味がありません。
それはただの汚しです。
このアレンジも言ってしまえば元の魅力を完全に殺いで別な魅力に置き換え、骨子だけは残っていても別物へとリフォームされてしまっています。
無論それが悪いとは言いませんが、原曲に大きな魅力を感じていた自分としては残念な結果と言わざるを得ません。
しかし最初にこのアレンジ版を聴いていたなら、また評価も変わっていたんじゃないかと思います。
これはこれで素直に綺麗な曲ですからね。
と言うか結局のところ1も2も出会った順番で評価が大きく変わる音楽なんでしょうね。
ゲームを遊んでいれば1の音楽の魅力を理解しやすいでしょうし、CDとして音楽をパッケージングされた状態で見れば圧倒的に2の曲の方が評価されるでしょうし。
言うなれば1と2は陰陽の関係なんだと思います。
ある意味では2枚揃って初めて面白さが分かるサントラなんだろうなと。
結構色々な音楽を聴いてきましたけど、ここまでコンセプトが違っているのに比較して魅力を感じるサントラってのは無かったと思います。
ゲーム音楽の楽しさが体感できる、稀有なセットですな。
ご興味があれば、是非全曲通しで聴いて頂きたいです。
何か新しい音楽の楽しさに目覚める…かもしれないので。