「アメリカン・スナイパー」鑑賞(若干ネタバレあり)

戦争映画ってのはたまに観ておかないと平和の有り難味が感じられなくなるので、そろそろ摂取しておこうと思って観てきました。
で、感想ですがこれは本当に平和ボケへのワクチンとして最適な作品だと思いましたよ。
観終わってしばらくは頭が回りませんでした、マジで。
久々にこんな感覚味わったなぁ…。
こういう頭が回らなくなった理由ってのは情報が非常に濃密で高質だったからだと思います。
と言うのも「アメリカン・スナイパー」は単純に戦争映画として観ても素晴らしいんですが、それ以外に名作と言われる多くの作品の要素を数多く取り込んでいるからです。
現代戦争物としてみれば「ブラックホーク・ダウン」に匹敵するクオリティですし、戦争によって心を蝕まれる様は「ジャーヘッド」を思い起こし、シールズでの訓練の光景は「フルメタルジャケット」を想起させ、スナイパー戦は「スターリングラード」に勝るとも劣らない出来になっています。
正に戦争映画の良いとこ取り。
美味しい部分だけギュッと詰め込んだ上に、更にヒューマンドラマとして観ても楽しめて、エンディングではドキュメンタリーのように実際の映像を使って泣かせに掛かるという非の打ち所の無さ。
しかもそのラストの為の伏線が大胆過ぎて、伏線だったとすらエンディングに入るまで気が付かないという巧妙さ。
本当にもうオレの完敗だよ。
だって流石に泣いちゃったもん、あの映像と音楽で。
洋画で、しかも戦争映画で泣く日が来るとは思わなかったですよ。
ただここまで褒めちぎってはいますが、万人にはお勧め出来ません。
と言うのも結構ショッキングな映像が多いからです。
拷問で天井から吊り下げられた遺体が出たり、切られた首が棚に置かれていたりするシーンも凄惨でしたが、一番惨いのはアルカイダの幹部が電動ドリルで子供を殺害するシーンでしたな。
と言うか人が普通に会社で使ってる商売道具で処刑とかすんなよ、馬鹿野郎!!
明日から充電式インパクト見る度にアレ思い出しちゃうじゃねぇか。
でもまぁ、こういうイスラム過激派による拷問や処刑ってのは割と最近でも取り上げられていたニュースでもあったので、フィクションの中の出来事ではあっても作り物だと思って目を背けてはいけないとは思っています。
むしろ最初に言っていた平和の有り難味というのを感じる為にこういうのをあえて観に来た部分もありますので、変な話むしろ見た甲斐があったように思います。
人間としてあんな事しちゃいけませんし、ならないように生きていかなきゃいけませんな。
という訳で観る人は選ぶでしょうけど、観て損は無い作品だと断言しておきます。
これだけの情報をそつ無く一本に纏められるクリント・イーストウッド監督の手腕はスゲェや。
アカデミー賞ノミネートも納得ですよ。
戦争映画好きならどうぞ。